夏が終わった頃、母に言われた。「志望校、もう少し現実的に考えてみたら?」
その言葉を聞いたとき、正直「そうだよな」と思った。自分でも薄々わかっていたから。でも同時に、どこかで「まだあきらめたくない」という気持ちもあった。
あの時、志望校を下げていたら今の自分はいない。そう断言できる。
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■ 「現実的に」という言葉の罠
親や先生が「現実的に」と言うとき、その人たちは心配してくれている。それはわかる。でも「現実的に」という言葉には、一つ問題がある。
「今の実力」を「最終的な実力」と勘違いしていることだ。
夏の時点での成績は、あくまで夏の成績だ。秋から冬にかけて、人間の成績は驚くほど動く。実際に私は、9月から12月の3ヶ月で偏差値が9上がった。
模試の判定が悪いときに志望校を下げると、勉強のギアが一段落ちる。「ここなら受かりそう」と思った瞬間、人間は本気を出しにくくなる。
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■ 私が志望校を下げなかった理由
志望校を下げなかったのは、根拠のない自信があったからじゃない。「下げたら後悔する気がした」という、ただそれだけだ。
あのとき誰かに言われた言葉が頭に残っていた。「受験は、終わったあとに後悔しない選択をすること」。
受かる保証はなかった。でも「全力でやって落ちる後悔」と「あきらめて別の学校に行く後悔」、どっちのほうが自分には耐えられるか、考えた。
答えはすぐ出た。
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■ 大切なのは、根拠を作ること
「志望校を下げるな」と言いたいわけじゃない。本当に実力差がありすぎる場合、戦略的に変更することも正しい選択だ。
でも「なんとなく不安だから」「親に言われたから」という理由で下げるのは、一度立ち止まってほしい。
大事なのは「根拠を作ること」だ。「この参考書を終わらせた」「過去問でこの点が取れた」という小さな達成を積み上げていくと、自信は少しずつついてくる。
今「どうせ無理」と思っているなら、まず一つだけやってほしい。志望校の過去問を1年分、時間を測らずに解いてみること。自分に何が足りないかが見えてきたとき、「無理」が「やることリスト」に変わる。