2026年5月|plusLINK編集部
「大学には行っておいた方がいい」——そう言われて育った世代の親御さんが、今の子どもたちに同じ言葉を伝えています。
でも、少し立ち止まって考えてみてください。「なんとなく大学へ」という進路選択が、本当にその子の将来を守ることになるのか、と。
これは工業高校を勧めているわけでも、大学進学を否定しているわけでもありません。「目的を持った進路選択」の大切さについて、地域に根ざしたウェブ制作会社として、岩手の中学生・高校生と保護者の方に伝えたいことがあります。
大学進学率は上がったのに、なぜ「学歴の価値」が揺らいでいるのか
日本の大学進学率は2023年に57.7%を超えました。2人に1人以上が大学に進学する時代です。かつて大学卒業が「就職の切り札」だった時代とは、状況が大きく変わっています。
📊 現在の就職・進学データ(2024〜2025年)
数字が示しているのは、「大学を出ればどこかに就職できる」という時代の終わりです。一方で工業高校や高専を卒業した技術者は、企業から引く手あまたの状況が続いています。
「大学に行ったけれど、やりたいことが見つからなかった。4年間と数百万円を使って、結局スタートラインに戻った気がする」
— 大学卒業後、地元に戻った20代の声(取材より)
これは珍しい話ではありません。目的のないまま大学に進学し、4年間モラトリアムを過ごしたあとに「自分が何をしたいかわからない」という状態で就職活動をする。その結果として早期離職が起き、また迷走する——そういう循環が、今の若者の間で静かに広がっています。
「手に職」は古くない。むしろ今こそ最強の安心材料
「手に職」という言葉は古くさく聞こえるかもしれません。でも本質は変わっていません。「この人がいなければ仕事が回らない」という状態を作ることが、どんな時代でも働く人の安心につながります。
第二種電気工事士の資格を持っていれば、日本中どこに行っても仕事があります。施工管理技士の資格があれば、建設現場で必要とされ続けます。機械を動かせる技術者は、製造業が存在する限り需要がなくなりません。
岩手県内の工業高校では、在学中に複数の国家資格を取得する生徒が多くいます。第二種電気工事士・危険物取扱者・CAD利用技術者・測量士補——これらは18歳の時点で「履歴書に書ける実績」です。4年間大学に通っても同じ資格が取れるとは限りません。
岩手で「技術を持って働く」ことの意味
岩手県は製造業・建設業・農業・水産業・電力・通信インフラなど、技術を必要とする産業が地域経済の根幹を担っています。東北電力・NTT・建設会社・製造工場——これらは岩手から消えることのない産業です。
一方で、「とりあえず大学」を出た文系卒業生の就職先として多いのは、販売・サービス・営業職です。これらの職種は景気変動の影響を受けやすく、AIへの代替も進んでいます。
岩手の地域産業を支える技術者は、今後も確実に必要とされます。地方で生きていくうえで、技術・資格は学歴よりも「強い武器」になる場面が多いのです。
「目的を持った進路選択」とは何か
私たちが伝えたいのは「大学に行くな」ではありません。「なぜ大学に行くのか」を言葉にできる状態で進学してほしいということです。
医師・研究者・弁護士・教師・エンジニア(大卒以上が必要な職種)を目指すなら、大学進学は明確な目的を持ったルートです。その場合は全力で応援します。
でも「大学に行かないと就職できないんじゃないか」「みんな行くから」「親が行けと言うから」という理由なら、一度立ち止まってほしいのです。
- 工業高校で電気工事士の資格を取って、地元のインフラ企業に就職する
- 高専で5年間学んで、岩手大学の工学部3年次に編入する
- 専門学校でITの技術を学んで、地元のシステム会社に就職する
これらは「大学に行かなかった負け組」のルートではありません。明確な目的を持って技術を身につけ、地域で必要とされる人材になるルートです。
保護者の方へ
お子さんの進路を考えるとき、「大学に行かせてあげたい」という気持ちは親として自然なことです。でも、その先を少しだけ想像してみてください。
4年間・400〜600万円を使って大学を卒業したあと、やりたいことが見つからず、転職を繰り返すお子さんの姿——それは本当に望む未来でしょうか。
工業高校や高専を選んだ18歳が、資格と技術を武器に地元企業に就職し、20代半ばには安定した収入と確かなキャリアを持っている——そういう人生設計も、十分に「成功した進路選択」です。
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